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中古車の走行距離はどこまでなら大丈夫?“目安”と選び方を徹底解説

2025年5月18日

近年、中古車市場はますます活況を呈しています。新車価格の高騰や、多くのモデルが市場に出回るようになったことで、多様な条件から自分に合った中古車を選べる時代になりました。しかし、中古車を選ぶ際に誰もが気になる点の一つとして「走行距離」が挙げられます。

本記事では、中古車を購入しようと検討している方のために、走行距離の目安や考え方、また実際に見るべきチェックポイントについて詳しく解説していきます。この記事を読むことで、「どれくらいの距離が“普通”なのか」「走行距離と車の状態はどう関係しているのか」「走行距離の多い車は買っても大丈夫なのか」など、中古車の走行距離にまつわる悩みを解消できるでしょう。

中古車選びにおける走行距離の重要性とは?

中古車を探していると、どうしても「走行距離が短いほど良い」と考えがちです。実際に、走行距離が短ければ短いほどエンジンや足回りなどの消耗が少ない傾向にあるため、「長く乗り続けられる可能性が高い」と思われるのは自然なことです。また、走行距離が短い車は、売却時の査定額も高めに見積もられることが多い点も魅力でしょう。

しかし、走行距離が少ないからといって、必ずしも良い状態とは限らないのが中古車の難しいところです。短距離走行を繰り返してきたためにエンジン負荷が大きくなっていたり、定期メンテナンスを怠っているケースもありえます。

走行距離の多い中古車はダメなのか?

一方で、「走行距離が多い車は買うべきではない」と考える方も少なくありません。確かに、走行距離が大きいほど部品の消耗や劣化が進んでいる傾向は否定できません。しかし、十分なメンテナンス記録がある車両は、実際の距離以上に状態が良い場合もあります。前のオーナーがどのような使い方をしていたのか、整備記録がどれだけきちんと残っているのかといった点も、走行距離と同等に重要です。

一般的な中古車の走行距離の目安はどのくらい?

多くの方が気になる「中古車の走行距離目安」は、一般的には年間1万キロ程度といわれます。つまり、5年落ちの車であれば5万キロが“平均的”という感覚です。しかし、近年は車の性能自体が向上しているため、一概に年間1万キロが正解とも限りません。

以下では、具体的な数字を挙げながら、中古車の走行距離をどう判断すればいいのかを解説していきます。

年間1万キロという基準

日本では、1年あたり1万キロが平均的な走行距離とされてきました。これはあくまで統計上の目安であり、個人の生活スタイルや通勤・通学事情、さらには居住地によって大きく左右されます。都会であれば公共交通機関の利用頻度が高くなるため、1年に5000キロ未満という例も珍しくありません。逆に地方で車通勤をしている方だと、年間2万キロ以上走行する場合もありえます。

年数とのバランスを見る

中古車を選ぶときは、走行距離単体ではなく「年数とセット」で考えるのがポイントです。例えば、10年落ちの車でも3万キロしか走っていない場合は、年式の割にかなり走行距離が少ないといえます。この場合、一見「お得」な感じがしますが、長期間にわたってほとんど動かしていなかった可能性があるわけです。エンジンオイルが長期間交換されなかったり、タイヤ・ゴム類が硬化しているなどのリスクも考慮する必要があります。

一方、3年落ちで3万キロなら平均的ですし、3年落ちで6万キロとなると“やや走り過ぎ”かなと判断されるケースもありますが、高速道路の移動が多くエンジンへの負担が比較的少ない運転をしていたケースもあるため、一概に「走行距離が多いからダメ」とは言えません。

走行距離が与える車両状態への影響

走行距離が増えるほど車の消耗・劣化が進むのは事実ですが、その影響は部品ごとに異なります。ここでは、代表的な部品や機能に対する影響を見ていきましょう。

エンジン

エンジンは車の「心臓部」です。走行距離が増えるほどシリンダーやピストン、ベアリングなどに磨耗が生じる可能性が高まります。きちんとオイル交換を行っていればダメージは少なく済みますが、メンテナンスを怠った場合、内部の磨耗が進んでパワー不足や不調の原因になるでしょう。また、長期的にオイルの質が悪い状態で走ると、エンジントラブルに直結します。

足回り(サスペンション・ブレーキ)

サスペンションやブレーキなどの足回りは、走る・曲がる・止まるといった基本的な動作に直接関係しています。走行距離が増えるほどショックアブソーバーやブレーキパッド、ディスクローターなどの消耗も進行します。高速道路走行がメインなら比較的消耗が少ない場合がある反面、市街地走行が多いとブレーキやサスペンションに強い負荷がかかりやすいです。

電装系パーツ

現代の車は多くの電子制御システムを搭載しています。エアコンやパワーウィンドウ、カーオーディオなども頻繁に使われるほど負荷がかかり、経年劣化や走行による振動で接触不良が起きる可能性があります。走行距離そのものよりも、使用状況やメンテナンスの有無が重要となる分野ですが、過走行車や古い年式の車ほどトラブルリスクは高くなると考えていいでしょう。

走行距離以外に着目すべきポイント

「中古車の走行距離目安」が気になるのは当然ですが、走行距離だけを基準に車を選ぶのはリスクが伴います。ここでは、購入を検討する際に並行して確認しておきたいポイントを挙げていきます。

メンテナンス履歴・整備記録

走行距離が多少多くても、定期的なオイル交換や部品交換をきちんと行っていれば、車の状態を良好に保てるケースがあります。逆に、走行距離が少なくてもメンテナンスが不十分であれば、思わぬ不具合が後々出てくるかもしれません。整備手帳の内容やディーラー・整備工場での点検履歴が残っているかをチェックしてみましょう。

使用環境

前オーナーがどのように車を使っていたかも重要な要素です。毎日長距離通勤で高速道路を利用していた場合は、走行距離は多くてもエンジン回転が比較的一定に保たれるため、車への負担が市街地走行より小さいとされています。逆に、都心部での短距離走行が多いとエンジンの暖機が十分でないままストップ&ゴーを繰り返すことが多く、消耗が早まる傾向があります。

事故歴・修復歴

いくら走行距離が少なくても、大きな事故歴がある車や修復歴がある車は注意が必要です。修理の程度によっては走行に支障がない場合もありますが、フレームにダメージが及んでいると、将来的に不具合が出るリスクが高くなります。中古車情報の中には修復歴が明記されていないケースもあるため、試乗や実車の下回り確認などができるとベストです。

外装や内装の状態

走行距離と直接結びつくわけではありませんが、外装や内装の汚れ・傷などは前オーナーの扱い方や使用頻度をある程度推測する材料になります。極端に傷が多かったり、屋外放置で塗装の劣化が激しい場合は、普段のメンテナンスにも手をかけていない可能性があるので要注意です。

過走行車のメリットとデメリット

走行距離が10万キロ以上などいわゆる「過走行車」と呼ばれる車両は、中古車市場では敬遠されがちです。しかし、敬遠されることが多いからこそ価格が抑えられている可能性もあります。ここでは、過走行車を購入するメリットとデメリットを整理しましょう。

メリット

価格が安い

需要が少ない分、同じ車種・年式でも走行距離が多い車は安価に設定されやすいです。限られた予算でより高いグレードの車や装備を狙うことができる点は大きな魅力でしょう。

メンテナンス記録がしっかりしていることが多い

長く乗り続けてきた車ということは、その分定期的に整備や部品交換を行ってきた履歴が残っているケースもあります。オーナーが車好きで手間暇かけている場合は、外見の走行距離以上にコンディションが良いことも珍しくありません。

デメリット

部品交換のタイミングが近い

タイミングベルトやウォーターポンプ、ショックアブソーバーなど、高額になりやすい部品交換のタイミングが迫っている可能性があります。中古車購入後に想定外の出費があると、総合的なコストが高くつくかもしれません。

不具合リスクの増加

トランスミッションやエンジン内部など、大きな故障が起きる可能性は増える傾向があります。保証の有無や、購入後のメンテナンス費用をどれだけ確保できるかを事前に考える必要があります。

実際に中古車を見極めるための具体的なポイント

走行距離の目安だけでなく、実際に中古車を見て判断するための具体的なステップをご紹介します。

外観・内装を確認

ボディの傷や錆、塗装ハゲ、内装の汚れや擦れ具合をチェックします。年式や走行距離に見合った程度の劣化か、それとも異常に傷だらけなのかを見極めましょう。

エンジンルームのチェック

オイルの汚れや漏れ、クーラントの量・色、ベルト類の損傷、バッテリーの劣化状態などをざっと確認します。異臭や目立った汚れがある場合は注意が必要です。

試乗する

実際にエンジンをかけてアイドリングの音や振動を確認し、一般道と高速道路で試乗できるならしてみましょう。加速時に異音がしないか、ブレーキに違和感がないか、ハンドルのブレがないかなどをチェックし、問題がある場合は販売店に相談してください。

整備記録を見る

販売店によっては整備手帳や過去の点検記録を開示してくれることがあります。オイル交換はいつ行ったのか、車検や法定点検を怠らず受けていたかを確認することで、車の状態をある程度把握できます。

保証内容を確認

中古車販売店やディーラーによっては、一定期間や一定走行距離の保証を付けているところもあります。もしも購入後にトラブルが発生した場合、保証があれば出費を抑えられる可能性が高いです。

こんなときはどうする? よくある疑問Q&A

Q1. 走行距離が何万キロを超えたら危険なの?

A. 一般的には「10万キロ」が過走行の一つの基準として挙げられますが、車種によって耐久性や故障しやすい部品が異なるため、一概に危険とはいえません。むしろ、10万キロを超えていても定期的にメンテナンスが行われていれば、問題なく走れるケースも多くあります。逆に5万キロ程度でもメンテナンス不良だとトラブルを抱えている可能性はあります。

Q2. 年式と走行距離、どちらを優先すべき?

A. 理想的には両方をバランスよく考えるのがベストです。年式が新しく走行距離が少ない車は価格が高くなりがちですので、予算内でどこを重視するかを検討しましょう。年式が古くてもメンテナンス履歴がしっかりしている車なら十分長く乗れる可能性があります。

Q3. ディーラー中古車と中古車販売業者はどちらが安心?

A. ディーラー中古車は、メーカーの基準で整備や保証が付いていることが多く、比較的高い安心感があります。一方、中古車販売業者の車は価格が抑えられているケースが多いです。業者によって整備体制や保証内容はさまざまなので、条件や評判を比較検討してみてください。

Q4. 試乗できない場合はどうチェックする?

A. 試乗が不可の場合は、最低限エンジンをかけてもらい、エンジン音や排気の匂い、振動などを確認しましょう。さらに、アイドリング状態でアクセルを少し踏んでみるなど、可能な範囲での確認を行い、販売店に過去の試乗や整備に関する情報を尋ねることも大切です。

中古車の走行距離はあくまでも「目安」

「中古車を検討するなら、走行距離は絶対に○万キロ以下じゃないとダメ」と言われることもありますが、実際は走行距離にとらわれすぎると、見逃してしまう良質な中古車があるかもしれません。もちろん、走行距離は車の消耗度合いを推測する重要な基準の一つです。しかし、定期的にしっかりメンテナンスされていた車なら、走行距離が多少多くても良好な状態を維持しているケースも多々あります。

そのため、中古車を選ぶ際は「中古車 走行距離 目安」としてよく言われる数字を参考にしながらも、実際の車両状態やメンテナンス履歴、使用環境など総合的に判断することが大切です。購入予算や使用目的、自分のライフスタイルに合わせて、よりベストな選択ができるように情報収集を怠らないようにしましょう。

最終的には、専門家や信頼できる業者の意見も聞きつつ、試乗などで自分の感覚を確かめるのが安心です。走行距離という指標をうまく使いながらも、過度に神経質になりすぎないことが、中古車選びで後悔しないポイントといえるでしょう。

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