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中古車の車検期間はいつまで?購入から維持まで知っておくべき全知識

2025年6月24日

中古車購入の不安を解消する「車検」の知識

新車に比べて手頃な価格で手に入り、選択肢も豊富な中古車は、多くの人にとって魅力的な選択肢です。しかし、「中古車って、車検はいつまで残ってるの?」「買ってすぐに車検が来るんじゃないか?」といった不安や疑問を感じる方も少なくありません。特に、車検は自動車の安全性を確保し、公道を走行するために不可欠な制度であり、その期間や費用は、中古車選びやその後の維持費に大きく影響します。

この記事では、中古車を購入する際に最も気になる車検の期間に焦点を当て、その基本的なルールから、購入時のチェックポイント、車検切れのリスク、そして賢く維持するための費用対策まで、中古車ユーザーが知っておくべき重要な情報を網羅的に解説します。車検の知識を深めることで、中古車に関する漠然とした不安を解消し、安心してカーライフを楽しめるよう、分かりやすく紐解いていきましょう。

中古車の車検期間は原則「2年」:新車との違いと例外

日本の車検制度は、自動車の安全確保と公害防止を目的として、定期的な点検・整備を義務付けています。中古車の場合、基本的な車検期間は2年間ですが、新車とは異なる特例や、車の種類による例外も存在します。

乗用車の車検期間:新車は「初回3年」、中古は「原則2年」

一般的に「車検」というと、乗用車を指すことが多いでしょう。新車として購入した普通乗用車や軽自動車の場合、初回車検は3年後に訪れます。これは、新車時の品質が保証されており、初めの3年間は比較的トラブルが少ないと想定されているためです。

しかし、一度でも登録された中古車の場合、車種に関わらず、次回の車検期間は原則として2年間となります。これは、その中古車が新車登録から何年経っているか、あるいは前回の車検から何年経っているかにかかわらず適用されるルールです。例えば、新車として購入されてから2年で中古車として販売された車でも、次回の車検は購入から2年後、つまり新車登録から4年後に来るということになります。

この「原則2年」という点は、中古車を購入する上で非常に重要な知識です。なぜなら、中古車販売店で「車検付き」と表示されていても、その残りの期間がわずか数ヶ月しかないケースもあれば、たっぷりと1年以上残っているケースもあるため、購入後の維持費に大きな差が出てくるからです。

中古車にも適用される「初回車検」の例外:新規登録・登録変更

中古車が「原則2年」の車検期間となる中で、まれに初回車検が3年となる例外があります。それは、「新規登録」や「用途変更」が行われた場合です。

例えば、これまで公道を走行していなかった未登録の中古車(新車時の登録から一度もナンバーを取得していない車、または登録抹消されていた車を再度登録する場合)を中古車として購入し、初めてナンバーを取得する「新規登録」を行う際には、その中古車も新車と同様に初回車検が3年となります。これは、公道を走行する車両としての新たなスタートを切るため、新車と同じ扱いを受けるためです。

また、車の種類を「用途変更」する際も、初回車検期間が3年となる場合があります。例えば、これまで貨物車として登録されていた車両を乗用車に変更するといったケースです。ただし、これは非常に専門的な手続きが必要であり、一般の中古車購入ではあまり遭遇しないケースです。

このように、中古車の車検期間は原則2年ですが、ごく一部のケースでは新車と同じ3年となる可能性も頭に入れておくと良いでしょう。

特殊な車両の車検期間:用途による違い

一般的な乗用車以外にも、中古車として流通する可能性のある車両には、車検期間に特殊なルールがあります。

軽貨物車(4ナンバー)

初回車検は2年、以降は毎年1年となります。これは、事業用車両として走行距離が長く、酷使されることが多いため、より頻繁な点検が必要とされているからです。中古の軽バンなどを購入する際は、この1年車検という点に注意が必要です。

バス・タクシー・トラック(8トン未満)

初回車検は1年、以降も毎年1年となります。

大型トラック(8トン以上)

初回から毎年1年となります。

レンタカー

乗用車でもレンタカーとして登録された場合、初回車検は2年、以降は毎年1年となります。これは、不特定多数の人が利用するため、より厳格な安全管理が求められるためです。

これらの特殊な車両を中古で購入する際は、乗用車とは異なる車検期間のルールがあることを理解し、維持費の計算に含めることが大切です。

中古車購入時に「車検期間」を徹底的に確認する重要性

中古車選びで失敗しないためには、「車検期間」の確認が非常に重要です。残りの車検期間によって、購入直後の出費が大きく変わる可能性があるからです。

車検残り期間がもたらす維持費の差

中古車販売店で「車検付き」と表示されている車でも、その残り期間は千差万別です。

車検残りが長い車(1年以上)

購入後すぐに車検費用を心配する必要がなく、当面の維持費を抑えられます。その分、車両本体価格が高めに設定されていることが多いです。

車検残りが短い車(数ヶ月)

車両本体価格が安く設定されていることが多いですが、購入後すぐに車検費用(法定費用+点検整備費用+代行手数料)が発生します。総額で考えると、安く購入したつもりでも結果的に高くつく可能性があります。

車検切れの車

車両本体価格は最も安いですが、購入時に車検費用が全額かかります。また、車検切れの車は公道を走行できないため、購入店から自宅まで陸送費用や仮ナンバー取得費用が発生することもあります。

このため、中古車の車両本体価格だけを見て判断するのではなく、残り車検期間を含めた「総額」で比較検討することが非常に重要です。特に、車検残りが短い場合は、購入契約時に次回の車検費用や整備内容について、販売店としっかりと話し合い、見積もりを提示してもらうようにしましょう。

中古車情報から車検期間を確認する方法

中古車の車検期間は、以下の方法で確認できます。

中古車情報サイトでの表示

ほとんどの中古車情報サイト(例:カーセンサー、グーネットなど)では、各車両の「車検満了日」が記載されています。これを必ず確認しましょう。

現車の確認(車検証)

実際に現車を見に行く際には、必ず車検証(自動車検査証)を確認させてもらいましょう。車検証には「有効期間の満了する日」が明確に記載されています。これが最も確実な情報です。

販売店への直接確認

疑問点があれば、遠慮なく販売店の担当者に直接質問しましょう。「車検はいつまで残っていますか?」「次の車検はいつ頃来ますか?」「次回の車検費用はどのくらいかかりますか?」など、具体的に尋ねることが大切です。

車検証を確認する際には、車検満了日だけでなく、「登録年月日/交付年月日」も見ておきましょう。これによって、その車が新車登録からどのくらい経っているか、前回の車検がいつだったのかが推測できます。

車検期間と合わせて確認したいポイント

車検期間だけでなく、以下の点も合わせて確認することで、より安心な中古車選びができます。

定期点検記録簿の有無

車検が残っている車であっても、過去にどのような整備が行われてきたかを確認できる「点検記録簿」があるかどうかが重要です。これにより、その車のメンテナンス履歴が把握でき、車の状態の信頼性を判断する材料になります。

消耗品の交換時期

タイヤ、バッテリー、ブレーキパッド、エンジンオイルなどの消耗品の交換時期も確認しましょう。これらがすぐに交換時期を迎える場合、車検費用とは別に、購入後すぐに大きな出費が発生する可能性があります。

保証内容

中古車販売店の保証内容も重要な要素です。保証期間や保証範囲がしっかりしている販売店を選ぶことで、万が一の故障時にも安心して対応してもらえます。

中古車の車検切れがもたらすリスクと対処法

もし中古車を購入する、あるいは現在所有している中古車の車検が切れてしまった場合、どのようなリスクがあるのでしょうか。そして、どう対処すれば良いのでしょうか。

車検切れ車両の走行は重大な違法行為

車検が切れた車を公道で走行させることは、法律で固く禁じられている重大な違反行為です。これは「無車検運行」と呼ばれ、以下のような厳しい罰則が科されます。

違反点数

6点(免許停止30日)

罰則

6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金

さらに、車検切れの車両は、同時に「自賠責保険切れ」である可能性が極めて高いです。自賠責保険は、車検を通すために必須の保険であり、多くの場合、車検と同時に更新されます。自賠責保険も切れている場合、以下の罰則が追加されます。

違反点数

6点(免許停止30日)

罰則

1年以下の懲役または50万円以下の罰金

つまり、無車検かつ無保険で公道を走行した場合、違反点数は合計で12点となり、免許停止90日、さらに16ヶ月以下の懲役または80万円以下の罰金という、非常に重い処罰を受けることになります。これは、過去に違反歴がない場合でも適用され、逮捕される可能性も十分にあります。

万が一、無車検・無保険の状態で事故を起こした場合、自賠責保険や任意保険が適用されないため、損害賠償をすべて自己負担しなければならず、人生を破滅させるほどの状況に陥る可能性があります。

車検切れ中古車への対処法

もし中古車の車検が切れてしまった場合、決して焦って公道を走行しようとしてはなりません。以下のいずれかの方法で対処しましょう。

仮ナンバーを取得する

車検を受けるために、最寄りの市区町村役場で「仮ナンバー(臨時運行許可番号標)」を取得する方法です。仮ナンバーは、車検を受けるための移動など、限られた目的と期間(通常3〜5日)でのみ、公道走行が許可されるものです。取得には、車検証(または抹消登録証明書)、自賠責保険証(有効期限内のもの)、運転免許証、印鑑などが必要です。この方法であれば、自分で車検場や整備工場まで運転して持ち込むことができます。

レッカー車や積載車で運搬する

仮ナンバーを取得せずに、整備工場や車検場まで車両を運搬する最も安全な方法です。専門の業者に依頼すれば、車検切れの車を直接引き取りに来て、目的地まで運んでくれます。費用はかかりますが、無車検運行のリスクを完全に回避できます。

出張車検・引取りサービスを利用する

整備工場の中には、車検切れの車両の引き取りや、自宅での出張車検サービスを提供しているところもあります。費用はかかりますが、手間をかけずに車検を済ませたい場合に便利です。

いずれの方法にせよ、車検切れ車両を公道で運転しないという鉄則を必ず守ることが重要です。

中古車の車検費用を賢く抑えるためのヒント

中古車の車検費用は、購入後の維持費の中でも大きなウェイトを占めます。賢く費用を抑えるためのポイントを知っておきましょう。

車検費用の内訳を理解する

車検費用は、大きく分けて以下の3つの要素で構成されます。

法定費用

国に支払うもので、どこで車検を受けても金額は変わりません。

  • 自動車重量税: 車両の重さや年式によって決まります。エコカー減税の対象となる場合もあります。
  • 自賠責保険料: 強制加入の保険です。24ヶ月(2年)分を支払うのが一般的です。
  • 印紙代: 車検の申請手数料です。

点検整備費用

車両を安全な状態に保つための点検や部品交換にかかる費用です。車の状態や走行距離、整備工場によって大きく変動します。

車検代行手数料

車検の申請手続きを業者に依頼する場合の手数料です。ユーザー車検であれば不要です。

中古車の場合、年式が古いほど部品の劣化が進んでいる可能性が高く、点検整備費用が高額になる傾向があります。

車検費用を抑える具体的な方法

ユーザー車検に挑戦する

自分で運輸支局や軽自動車検査協会に車両を持ち込み、検査を受ける方法です。点検整備を自分で行えば、法定費用と印紙代だけで済むため、最も費用を抑えられます。ただし、車の整備知識や点検の技術が必要であり、不備があれば再検査となります。時間と手間がかかるため、初心者にはハードルが高いかもしれません。

複数の業者に見積もりを依頼する

ディーラー、整備工場、ガソリンスタンド、車検専門店など、様々な業者が車検サービスを提供しています。それぞれ得意分野や料金体系が異なるため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することで、最も納得のいく価格とサービスを見つけることができます。この際、単に安いだけでなく、整備内容や保証についても確認しましょう。

不必要な部品交換を断る勇気を持つ

整備工場によっては、まだ使用できる部品の交換を勧めてくることがあります。車検に直接関係のない部分や、まだ寿命が残っている消耗品については、本当に交換が必要か、業者とよく相談し、納得できない場合は断る勇気も必要です。ただし、安全に関わる重要な部品については、専門家の意見に従うようにしましょう。

日頃から定期的なメンテナンスを行う

これが最も根本的で効果的な費用削減策です。日頃からオイル交換、タイヤの空気圧チェック、電球類の確認など、基本的なメンテナンスを自分で行ったり、定期的にプロに点検してもらったりすることで、車検時の大きなトラブルを防ぎ、突発的な高額修理を回避できます。車が健康な状態であればあるほど、車検時の整備費用は抑えられます。

賢い知識で、安心の中古車ライフを

中古車の車検期間は、購入後のカーライフに直結する非常に重要な要素です。新車と中古車では初回車検の期間が異なること、そして一部の車両には独自の車検期間が適用されることを理解しておくことは、中古車選びの第一歩となります。

車両本体価格だけでなく、残りの車検期間、そして次回の車検でかかるであろう費用まで見越した「総額」で比較検討する習慣をつけましょう。そして、万が一、車検切れの車を所有している場合は、決して安易に公道を走行せず、必ず適切な手続きを踏んで車検を通すことが、ご自身の安全と社会への責任です。

車検費用を賢く抑えるためには、日頃からの丁寧なメンテナンスが何よりも大切です。そして、困った時は信頼できる業者や専門家を頼る勇気も持ちましょう。

正しい知識と適切な準備があれば、中古車は決して怖いものではありません。むしろ、新車にはない魅力やメリットを存分に享受できる、賢明な選択肢となるはずです。この記事が、あなたの安心して快適な中古車ライフの一助となることを心から願っています。

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