中古車

中古車を選ぶときに押さえておきたい「車検」の基礎知識と賢い活用法

2025年5月16日

新車に比べてリーズナブルな価格で豊富な選択肢が魅力の中古車。ですが、購入を検討するときに気になる要素のひとつが「車検」ではないでしょうか。走行距離や年式、前オーナーのメンテナンス履歴などに左右される分、車検にまつわる不安や疑問を抱く方は多いはずです。
本記事では、はじめて中古車を購入する方にもわかりやすいように、重要なポイントや注意点を整理しながら、安心して選び・乗り続けるための知識をまとめていきます。購入前後で失敗しないためのコツを、ぜひ最後までご覧ください。

なぜ中古車の車検が重要視されるのか

安全性を確保するための基本制度

車検は、公道を走るクルマが安全基準を満たしているかどうかを定期的に確認する国の制度です。車種にもよりますが、新車を買った場合は3年目、それ以降は2年ごとに受ける必要があります。しかし、一度人の手に渡った中古車の場合、前オーナーの使い方や整備状況、走行距離などによってコンディションが大きく変わってきます。
そのため、適切な整備や点検がされていないと、ブレーキやタイヤなど安全面に直結する部品にトラブルが発生するリスクも高くなります。中古車でも快適に走り続けるには、やはり車検をきちんと受けて問題箇所を洗い出し、早めに対処していくことが欠かせないのです。

購入時の費用負担にも大きく影響

中古車の購入を検討するときに見逃せないのが、「車検の有効期限がどれくらい残っているか」というポイントです。もし残り期間が長ければ、当面は車検費用を負担せずに済みます。一方、車検切れや期限が近い場合は購入後すぐに費用が発生する可能性があるため、購入時の予算計画に大きく響いてきます。
また、部品交換が必要な箇所が多い車だと、車検時に追加費用がかさむことも少なくありません。そのため、中古車の選定段階からメンテナンス履歴や整備状況を十分に調べておくことが大切です。

整備内容や保証内容にも注目

一般的に中古車の販売サイトや店頭の表示では、「車検付き」「車検整備付き」「整備別」などといった表記を見かけます。たとえば、「車検付き」とは単に有効期限が残っている状態を指し、「車検整備付き」は販売店が新たに検査を通したうえで納車する形態を意味することが多いです。
同じような文言でも、実際に行われる整備の内容や費用負担の範囲は販売店によって異なります。どこまでメンテナンスを実施してくれるのか、また保証期間や保証対象部品がどうなっているのかを確認しておくことで、購入後に予期せぬ出費に悩まされるリスクを減らせるでしょう。

中古車を購入する前にチェックすべき車検関連のポイント

最初に確認するべきは「次の車検の時期」

中古車の情報をリサーチしている段階でまず注目したいのは、現在の車検有効期限がいつまでなのかという点です。

  • 車検が1年以上残っている:購入後しばらくは追加費用がかかりにくいため、初心者の方や初期費用を抑えたい方には魅力的です。
  • 車検が数ヶ月しか残っていない:一般的に本体価格は安めに設定されることが多いですが、早いタイミングで検査費用が必要になるため、総合的なコストが高まる場合もあります。

このように、有効期限の長短だけでなく、近い時期に検査を通す場合の予算も考慮しながら選ぶのがポイントです。

メンテナンス履歴や修復歴も要確認

中古車の中には、しっかりと定期点検や整備を受けてきた「状態の良い一台」もあれば、過去に大きな事故に遭い修復歴のある車両、あるいは整備記録が曖昧なものも存在します。

  • 整備記録簿:車検や定期点検でどの部位のメンテナンスを行ったのかが記録された書類です。きちんと保管・更新されている車両は、オーナーが丁寧に扱ってきたと推察できます。
  • 修復歴:大きな事故などでフレームにダメージが及ぶと修復歴ありとされます。まっすぐ走らない、足回りに不具合があるなどのリスクが残る場合もあるため、可能な限り避けたいところです。

購入前のチェックポイントとして、この整備記録や修復歴の有無を販売店に尋ねると、車検時の追加費用が予測しやすくなり、長い目でみた安心感が高まるでしょう。

実際に試乗してフィーリングを確かめる

ネットやカタログで見ていた印象だけで決めるのではなく、できるだけ試乗してみることをおすすめします。ブレーキの効き具合やエンジンの振動、変速機(ATやCVT)のスムーズさなど、実際に体感してみないとわからない部分は多いものです。
走行時に異音がしないか、加速や減速がスムーズかどうかなど、少しでも気になる点があれば販売店に質問すると良いでしょう。試乗によって得られた印象は、車検に臨むタイミングで「この部分が怪しかった」と明確に指摘できるので、整備を依頼する際にも役立ちます。

実際の車検費用はどのくらいかかるのか

費用の基本的な内訳

車検費用は主に以下のような項目に分けられます。

法定費用

  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 検査手数料(印紙代)

整備費用・点検費用

車をリフトに上げてブレーキ、エンジン、サスペンションなどを点検し、不具合があれば修理するための費用です。工場やディーラーごとに工賃の設定が違うため、相見積もりを取るとよいでしょう。

交換部品などの追加費用

ブレーキパッドやタイヤ、バッテリーなど、消耗品の交換が必要になれば部品代と工賃が追加で必要となります。中古車の場合、年式が古いほど消耗部品が重複して交換時期を迎えている可能性もあり、費用が嵩むケースがあるので注意してください。

中古車特有の費用がかさむケース

中古車は新車に比べて初期購入時の負担が軽くなる反面、以下のような状況で車検費用が高くなることがあります。

  • 走行距離が多く、エンジン内部や足回りにガタが来ている
  • ブレーキパッドやディスクローター、タイヤなどが交換時期に近い
  • 大きな修復歴があり、フレームのゆがみや電装系統に問題を抱えやすい

そのため、購入後すぐに点検・整備を行い、部品交換の必要性を早めに把握しておくことが賢明です。「一度に大きな出費をするのは避けたい」という方は、6ヵ月・12ヶ月ごとに整備工場に点検を依頼し、少しずつ整備費用を分散させる方法もあります。

費用を抑えるためのコツ

中古車を所有していると、どうしても車検のたびにある程度の出費が発生します。しかし、いくつかのポイントに気をつければ、負担を軽減することが可能です。

複数の業者で見積もりを比較

ディーラーや整備工場、車検専門店など、複数箇所で見積もりを取れば、内容と料金の差が見えてきます。

キャンペーンや割引を活用

早期予約割引や平日入庫割など、各社が独自に行う割引サービスをチェックするのもおすすめです。

ユーザー車検の検討

整備知識や時間的余裕がある場合、ユーザー車検に挑戦する手もあります。ただし、不具合箇所が多いと、結果的に専門の整備工場に任せたほうが安心という場合も。

中古車を購入してから車検を受けるまでの流れ

購入時に名義変更と書類の確認

中古車を買う際、販売店が手続きを代行してくれることがほとんどですが、名義変更後に発行される新しい車検証などをしっかり確認しておきましょう。車検証には、登録年月日や有効期限、車両重量などの大切な情報が記載されています。
また、このタイミングで整備記録簿などもあわせて確認しておけば、次回の車検や定期点検でどの部品が交換済みなのか把握しやすくなります。わからない項目があれば、遠慮なくスタッフに質問してみてください。

車検が近づいてきたら業者をリサーチ

購入後、次の車検時期が半年以内に迫ったら、早めに業者をリサーチしましょう。ディーラー・整備工場・カー用品店などさまざまな選択肢があり、料金やサービス内容は店舗ごとに違います。

  • ディーラー車検:純正部品や最新の専用機器を使った整備が期待できる一方、費用はやや高め。
  • 民間整備工場:地域密着型が多く、融通がきく場合がある。費用はディーラーより安い傾向があるが、技術力や設備の差が大きい場合がある。
  • 車検専門店やカー用品店:短時間で安く済むプランを用意していることが多い。ただし詳細な分解整備を行わず、あくまで「検査に通すだけ」の内容になるケースもあるため注意。

必要に応じて部品交換やメンテナンスを実施

車検は単に「合格すること」がゴールではありません。安全で快適な走行を維持するには、点検で判明した不具合や交換時期が迫っている消耗品をメンテナンスすることが大切です。

  • タイヤの溝やひび割れ
  • ブレーキパッドの残量
  • バッテリーの電圧
  • エンジンオイルの汚れや交換時期

こういった項目を車検のタイミングでまとめて交換・修理するか、あるいは分散して整備するかを整備士と相談しながら決めていくと、費用をコントロールしやすくなります。

中古車ライフをより安心・快適にするメンテナンスのコツ

日常点検を習慣化する

乗用車の車検は2年に一度(新車登録後は最初の車検が3年)ですが、その間にもオイル交換やタイヤの空気圧チェックは定期的に行わなければなりません。特に中古車は使用歴があるぶん、思わぬトラブルが起こりやすいことを念頭に置いておきましょう。

  • オイル交換:一般的には5,000〜10,000km走行ごと、または半年に1回程度
  • タイヤ空気圧と摩耗具合:月に一度は確認を行う
  • クーラントやウォッシャー液の量:給油のついでにざっとチェック

こうした小まめなメンテナンスが、エンジンやタイヤの寿命を延ばし、車検時の整備費用を減らすことにもつながります。

故障前の予防整備という考え方

日本では「壊れたら直す」という事後整備の意識が根強いですが、ヨーロッパなどでは「故障を未然に防ぐ」予防整備を重視しています。中古車ほど、部品の劣化が進むと一気に複数箇所がダメになることもあるため、早めの交換や点検を心がけるメリットは大きいです。
例えば、バッテリーは弱ってくるとエンジンがかからなくなるリスクが高まります。車検の時期を待たず、怪しい症状が出始めたら早めに交換を検討することで、出先での突然のトラブルを回避可能です。

アフターフォローや保証制度を活用

ディーラー系中古車販売店や大手中古車専門店では、独自の保証プランを用意していることがあります。エンジンやミッションなど主要部品を一定期間無償修理する制度や、延長保証プランなどが代表的です。
多少費用がかかっても、購入後しばらくは修理費が軽減されるという安心感は大きいもの。中古車の状態や自身の乗り方を考慮して、必要があればこうしたサービスを積極的に利用すると良いでしょう。

こんなときは買い替えも検討

車検費用が高額になりすぎる場合

中古車の車検を受けた際、大幅な部品交換や整備が必要となり「このまま乗り続けても次々に不具合が出るかもしれない」と感じるケースもあります。特に、年式が古い車で10万km以上走っている場合は、エンジン内部やミッション周りのトラブルリスクが上昇する傾向にあります。
もし車検代や整備費用が予想を超えて高くつくようなら、思い切ってより新しい別の中古車に買い替えることも選択肢に入れてみてください。リセールバリューや今後の維持費を考慮すると、長い目で見てコストパフォーマンスが良くなる場合があります。

ライフスタイルの変化

結婚や出産、転職などで使用環境が変わったり、駐車スペースの条件が変わったりすると、それまで乗っていた車が合わなくなることがあります。たとえば、子どもが増えてセダンからミニバンに乗り替えたい、逆に大きな車からコンパクトカーへ切り替えたいなど、ライフスタイルの変化は車の買い替え時期の大きなきっかけになるでしょう。
このタイミングで次の中古車を選ぶときも、やはり次回の車検費用やメンテナンスのしやすさを考慮すると失敗を減らせます。

最新の安全装備を求めるなら

近年、自動ブレーキやレーンキープアシストといった先進安全技術が普及し、比較的リーズナブルな中古車でもこれらの装備を搭載しているモデルが増えてきました。安全性能を重視したい方にとっては、こうした新世代のシステムを備えた車への買い替えは大きなメリットといえます。
車検を機に安全性や快適性を追求するのも、「家族や大切な人の未来を守る為」には賢い選択となるでしょう。

中古車ならではの「車検」のポイントを理解して安心ドライブを

中古車を検討する際、費用や安全面に直結するのが車検という制度です。状態が一台ごとに異なるからこそ、以下のポイントを意識すると、失敗を減らしながら快適なカーライフを実現しやすくなります。

車検の残り期間や有効期限を要チェック

  • 長ければ初期費用が抑えられる可能性が高い
  • 短い場合は本体価格が安い反面、早めに大きな出費が発生するリスク

整備記録簿や修復歴の確認でトラブルを回避

  • 定期点検がしっかり行われてきた車は、車検費用を抑えられる場合が多い
  • 大きな修復歴がある車は、フレームや電装系統に影響を及ぼしている恐れがある

試乗でフィーリングを確かめる

  • 走行時の振動やブレーキの効きなど、実際に体感することで潜在的な不具合を察知

車検費用の内訳と相見積もりが重要

  • 法定費用はどこでも同じだが、整備費用は業者ごとに差がある
  • 大きな部品交換が必要かどうか事前に把握しておくと計画が立てやすい

日常点検と予防整備で安全性とコストを両立

  • オイル交換やタイヤの空気圧点検などをこまめに行う
  • 軽微なトラブルを放置せず、早めに修理や交換を検討

ライフスタイルや安全装備の充実度を考慮して買い替えも検討

  • 車検時の高額整備より買い替えのほうが結果的に得になるケースもある
  • 最新の安全技術搭載車への乗り換えで、家族の安心を高められる

中古車は新車より安く購入でき、多様な選択肢から自分に合った一台を見つけやすい魅力があります。一方で、状態が不透明な部分や走行距離・年式による部品の摩耗リスクも見逃せません。だからこそ、車検や定期点検で車の健康状態をしっかり把握し、必要に応じたメンテナンスや整備を行うことが大切です。
理想的なクルマを手に入れたあとも、安全かつ快適に走るための取り組みを怠らず、さらにライフスタイルの変化や好みの変遷に合わせて柔軟に買い替えを検討しましょう。そうすれば、あなたのカーライフはきっと長く、充実したものになるはずです。

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