中古車

【リスクと対策を徹底解説】納得して買う「保証なし」の中古車

2025年5月10日

中古車を検討するとき、皆さんは何を最も重視するでしょうか。「できるだけ安く手に入れたい」「燃費が良い車がいい」「整備履歴がしっかりしている車を選びたい」など、重視するポイントは人によってさまざまです。その一方で、中古車マーケットには“保証がない”まま販売されている車も数多く存在します。いわゆる「保証なし」の車両は、他の中古車と比べると一見価格が安く魅力的に映るかもしれません。しかし、保証が付かないということは、購入後のトラブル対応をすべて自分で負わなければならないリスクを抱えることでもあります。

本記事では、中古車選びをするうえで「保証なし」の車両に注目し、そのメリット・デメリットや購入時に気を付けたいポイント、さらに安心して乗り続けるためのメンテナンス方法などを徹底的に掘り下げます。もしあなたが「保証なしでも良いから安く中古車を手に入れたい」「自分好みの珍しい車を探したいけれど保証が付かないケースが多い」といった状況にあるならば、ぜひ最後まで読んでみてください。知識と対策をしっかりと身につければ、保証がなくても後悔のない中古車選びが可能になります。

中古車の保証とはそもそも何?

「中古車の保証」とは、新車時から継続されるメーカー保証が残っている場合や、販売店が独自に設定している保証サービスを指します。新車であればメーカーによる保証が一定期間・一定距離まで適用され、エンジンやトランスミッションなど主要部分の不具合は基本的にメーカー側やディーラーが対応してくれます。

一方、中古車になると、すでにメーカー保証が切れていたり、あるいは前オーナーがメーカー保証を継承していなかったりするケースもあります。そのため多くの場合、中古車販売店が独自の保証プランを用意し、購入者は追加料金を支払ってその保証を付けることができるのです。保証の内容としては、「エンジンや動力系のみカバーされる簡易的なもの」から「電装品や足回りなども含めて幅広くカバーする総合的なもの」まで、販売店ごとにバリエーションが豊富です。

しかし、販売店によっては「現状販売」という形で保証を付けず、故障が起きても自己責任となる車両を扱っていることがあります。ここでいう“現状販売”は、購入時点の車の状態をすべて受け入れる契約形態のことを意味し、購入後に不具合が見つかっても販売店側は基本的に修理対応を行いません。こうしたケースが、いわゆる「保証なし」の中古車として流通しているわけです。

どうして「保証なし」の中古車があるのか

中古車市場で保証がないまま販売される理由は、大きく分けていくつか考えられます。

年式や走行距離の問題

非常に古い年式の車や、走行距離が20万キロ、30万キロと多い車は、エンジンやミッションなどの主要部品に何かしらのリスクが潜んでいる可能性が高まります。販売店側としても修理保証を付けると負担が大きくなるため、あえて保証対象外にすることで販売価格を下げているのです。

修復歴車やカスタム車

大きな事故歴(修復歴)がある中古車や、エンジン・足回りなどが大幅にカスタムされた車は、トラブルの原因が既存の保証規定外となる場合があります。こうした車両は保証を付けにくく、その結果保証がないまま売られるケースが珍しくありません。

オークション直出し・現状販売

販売店がオークションで仕入れた車をほぼそのままの状態で並べる場合、仕入れ段階での整備や点検が十分でないことも多いです。また、「現状のまま安く販売するから、それで納得できる方だけ買ってください」というスタンスの店舗もあります。このときに提示されるのが「保証なし」での販売形態です。

このように中古車が保証なしで販売される背景には、販売店のコスト都合や車の状態によるリスクの高さなどが関係しています。購入する側としては、そのリスクをしっかり理解しつつ、「保証がなくてもOK」と考えるか、「少し高くても保証が付いている方が安心」と判断するかを見極める必要があるでしょう。

保証が付かない中古車のメリット

一見すると「保証なしの中古車」というだけで不安を抱きがちですが、実はそれを選ぶメリットもいくつか存在します。主なポイントを挙げてみましょう。

購入価格が抑えられる

保証を付けるためには、販売店側も故障時の修理費を負担するリスクを見込まなければならず、その分どうしても販売価格が高くなります。一方で保証を付けない車は、そのリスクをすべて購入者が負う代わりに、価格設定が安めになるのが一般的です。限られた予算で車を探している人にとっては、大きな魅力と言えるでしょう。

選択肢の幅が広がる

「保証付きの車」を条件に探していると、年式が比較的新しかったり、修復歴がなかったりといった“条件の良い車”に偏ることが多く、結果として希望の車種や好みのグレードに巡り合えないこともあります。しかし「保証なし」でもOKと割り切ることで、低年式や高走行距離の希少車、あるいはレアなカスタム仕様などにも手を伸ばせるようになります。

整備や修理を自分で楽しむ人には向いている

車いじりが趣味で、ある程度メンテナンスの知識や工具を持っている人にとっては、保証がない車であってもさほど問題ではありません。むしろ安く手に入れた車を自分でコツコツ整備し、コンディションを上げていくこと自体を楽しめるでしょう。自動車整備士などの資格を持っている人やDIY精神旺盛な人にとっては、あえて保証なしの車を選ぶメリットがあるとも言えます。

保証なし中古車のデメリットと注意点

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もちろん、「保証なし」というのはリスクが高い面も多々あります。以下のデメリットや注意点を理解したうえで購入を検討しましょう。

故障時の費用がすべて自己負担

購入してすぐにエンジントラブルやミッショントラブルが起きても、一切保証が効かないため修理費は自分で支払うことになります。数万円程度の修理ならまだしも、エンジン載せ替えなど大きなトラブルが起これば数十万円単位の出費が必要となり、中古車本体の価格と合計するとかなり割高になる可能性もあります。

安定したアフターサービスが期待できない

保証付きの中古車であれば、不具合が起きた際に販売店がある程度サポートしてくれることも多いです。無料修理や代車の貸し出しなど、購入後のアフターサービスは重要な安心材料と言えます。一方、「保証なし」の車両では、そのようなサポートがほとんど期待できません。販売店によっては有料修理さえも断られることがあるため、トラブル時には自分で整備工場を探さなければならないケースもあるでしょう。

車両状態の見極めが難しい

中古車には、前オーナーの使用状況や整備履歴が不明な車も少なくありません。特に「保証なし」で売られる車の場合、修復歴の有無や消耗品の状態が曖昧なまま販売されているケースもあります。見た目がきれいでも隠れた不具合を抱えているかもしれないため、事前にしっかり状態を把握することがより重要になります。

購入前にチェックしたいポイント

保証なしの車を選ぶ場合、購入前のチェックは通常以上に慎重に行う必要があります。ここでは特に確認しておきたいポイントを詳しく解説します。

外装・内装の状態

外観のキズやへこみ、塗装の痛み、錆びの有無などはじっくり観察しましょう。内装に関しても、シートやフロアマットなどの汚れや破れ、電装系(パワーウィンドウやエアコン、照明系など)の動作確認を必ず行ってください。些細な部分でも整備不良があれば、他の箇所もメンテナンスが行き届いていない可能性があります。

エンジンやトランスミッションの調子

エンジンの始動性、アイドリング時の異音や振動、排気ガスの色などを確認するとともに、試乗できる場合は必ず実施しましょう。アクセルを踏んだときの加速感やシフトチェンジの滑らかさ、変速ショックの有無などを丁寧にチェックしてください。少しでも違和感がある場合は、販売店に詳細を尋ねるか、購入を再検討するのも手です。

足回りやブレーキの状態

サスペンションやショックアブソーバー、ブレーキパッドの減り具合やディスクローターの状態などは走行に直接影響を与えます。中古車で保証なしの場合、こうした重要部品の劣化が進んでいると、修理費が大きく膨らむ原因になるため特に注意が必要です。

整備記録簿や修復歴の有無

できる限り整備記録簿を確認し、定期的に点検やオイル交換が行われてきたかを確認しましょう。修復歴がある場合は、その範囲が車の骨格に及んでいるか、どの程度のダメージだったのかを把握することが大切です。車の安全性や耐久性に直結する要素なので、販売店の説明に加えて第三者の鑑定書などがあればしっかり目を通しましょう。

契約内容と販売店の信頼度

保証がない車の場合、契約書や注文書に「現状販売」「ノークレーム・ノーリターン」などの文言が入っていることが多いです。購入後のトラブルに関して販売店が一切責任を負わないことを示すため、契約前にしっかり理解しておきましょう。また、販売店の口コミや評判をネットや知人からリサーチし、最低限のアフターサポートを期待できるかを確認することも重要です。

メンテナンスで故障リスクを減らす方法

保証なしの中古車を購入した場合、故障リスクを最小限に抑えるには日頃のメンテナンスが欠かせません。具体的には以下のような取り組みを行うと良いでしょう。

定期的なオイル交換と点検

エンジンオイルやオイルフィルターは車のコンディションを保つうえで最重要の消耗部品と言っても過言ではありません。メーカー推奨の走行距離か期間を目安にこまめに交換し、同時にエンジン回りを簡単に点検する習慣をつけましょう。

消耗品の早め交換

タイヤ、ブレーキパッド、バッテリー、ベルト類など、消耗品は定期的にチェックし、早めに交換することで大きなトラブルを防止できます。費用を惜しんで限界ギリギリまで使おうとすると、突然の故障を招きかねません。

DIYとプロ整備の使い分け

簡単な清掃や部品交換はDIYで行うのも良いですが、エンジン内部の整備やブレーキ、足回りの点検・交換といった安全性に直結する部位はプロに任せましょう。車の知識や技術に自信がある人でも、専用設備がなければ判断や作業が難しいケースが多々あります。

整備工場を確保しておく

保証なしの車は、いざというときに頼れる整備工場があるかどうかが安心感を大きく左右します。自宅や職場の近くで評判の良い整備工場を見つけておくと、急なトラブル時でもスムーズに対応しやすくなります。

自分でできるトラブル対策と予防策

保証なしで中古車を乗るからには、トラブルを未然に防ぐ工夫や、万が一トラブルが起きたときに対処できる体制を整えておくことが大切です。

異音や異常信号を見逃さない

走行中に異音がする、アイドリングが不安定、警告灯が点灯しているといった症状は小さな故障のサインである可能性があります。早期に原因を突き止め、修理や部品交換を行えば、大きな故障につながる前に対策できます。

緊急時のロードサービス加入

任意保険やクレジットカードなどで利用できるロードサービスの内容をチェックし、必要に応じて手厚いプランに加入しておくと安心です。レッカー移動費や修理工場までの搬送費用が無料または割引になるプランもあるので、保証なし車でも大きな出費をある程度抑えられます。

スペアパーツや工具の準備

日常点検や軽微なトラブルに対応できるように、常備品として簡易工具セットやスペアタイヤ、パンク修理キットなどを用意しておくと心強いでしょう。特に長距離ドライブや遠出をする際は、応急処置ができるグッズを揃えておくことで急場をしのげることがあります。

故障情報の収集

購入した車種の故障事例やリコール情報、よくあるトラブルなどをネットやSNSで調べておくのも有効です。同じ車種オーナーが集まるコミュニティでは、故障事例やDIY修理の情報を共有していることが多いため、事前に把握しておけばトラブル発生時にスピーディーに対応できます。

予算とリスクのバランスを取る心構え

「中古車で保証が付かないので価格が安い」という魅力に惹かれても、実際に修理費が発生したときに支払える余裕がなければ、結局は負担が大きくなるだけです。そこで、以下の点を考慮して予算とリスクのバランスを取ることが重要となります。

緊急修理費用の確保

突然の故障で大きな修理が必要になった場合、最低でも数万円から数十万円の出費が予想されます。日常的なメンテナンス費用を含め、ある程度のまとまった額を「もしもの時のため」に別に置いておくと、急な支払いにも対応しやすくなるでしょう。

走行距離や使用用途を考慮

普段から長距離を走る人や、急坂が多い地域に住んでいる人は、その分車にかかる負担も大きくなりやすいです。保証なしの車だと負担が蓄積して故障リスクが高まるため、自分の使用環境に合わせた選択が求められます。

車両本体以外の費用を把握

中古車を購入する際、車両本体代金以外にも、自動車税、重量税、自賠責保険、リサイクル料金、登録手数料など、さまざまな諸費用が必要です。保証なしの中古車でも、こうした費用は避けて通れません。さらに故障修理費が発生すれば、大きな出費となる可能性があります。購入前に総合的な資金計画を立てておきましょう。

長期的な乗り換えプラン

中古車をどのくらいの期間乗り続けるのかによっても、保証の有無に対する考え方は変わってきます。短期的に乗り潰すつもりなら保証なしでも良いかもしれませんが、長く大切に乗りたい場合は、多少高額でも保証付きを検討する方が安心です。

保証なし中古車で失敗しないために

中古車を検討する際、「保証なし」という言葉に抵抗を感じる方も多いかもしれません。しかし、保証が付かない車両には、その分だけ価格が安い・選べる車種が多いなどのメリットも確かに存在します。重要なのは、保証がないことによるリスクを正しく理解し、故障時の対処法や予防策をしっかりと把握しておくことです。

具体的には、事前に車の状態を可能な限りチェックし、購入後は定期的なメンテナンスや早めの部品交換を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。また、万が一トラブルが起きたときのために、ロードサービスの利用や整備工場との連携を確保しておくと安心感が違います。加えて、緊急時に備えた予算を確保することも大切です。

最終的に「保証なしの中古車が向いているかどうか」は、人それぞれのカーライフスタイルや予算、車に対する知識やこだわりによって異なります。自分の目的や経済状況を踏まえて、安さとリスク、サポート体制のバランスを見極めてください。そうすれば、たとえ保証なしでも、満足度の高い中古車ライフを送ることができるはずです。

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