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車のエンジンオイルランプが点灯・点滅!その意味と緊急時の対処法、そして予防策まで徹底解説

2025年6月22日

突然の「赤信号」にパニックにならないために

運転中に、ダッシュボードに突如として見慣れない警告灯が点灯・点滅したら、誰でも心臓がヒヤリとするものです。中でも、油差しのようなマークの「エンジンオイルランプ」が点灯・点滅した際は、特に注意が必要です。このランプは、単に「エンジンオイルが少ないですよ」というお知らせではありません。多くの場合、それは「エンジンオイルの圧力が異常に低いですよ」という、非常に危険なサインなのです。

エンジンオイルは、車のエンジンにとって血液のようなものです。エンジン内部の部品を潤滑し、摩擦や摩耗を防ぎ、冷却し、清掃する役割を担っています。そのオイルの圧力が低下するということは、エンジン内部にオイルが十分に供給されず、金属同士が直接こすれ合い、焼き付きや重大な損傷に繋がる可能性がある、まさに「命に関わる赤信号」と言えるでしょう。

この記事では、車のエンジンオイルランプが点灯・点滅した際に、それが何を意味するのかを詳しく解説し、その時に「絶対やってはいけないこと」と「すぐに取るべき行動」について具体的に説明します。さらに、なぜこのランプが点灯するのかという主な原因から、緊急停止後に行うべきこと、そして日頃からできる予防策まで、エンジンオイルランプに関するあらゆる情報を網羅的に紐解いていきます。この知識を身につけることで、万が一の事態にも冷静に対処し、愛車とご自身の安全を守るための準備ができるはずです。

エンジンオイルランプが点灯・点滅した!それは「赤信号」です

車のダッシュボードに表示される警告灯の中でも、エンジンオイルランプは、その重要性から赤色で点灯・点滅することがほとんどです。その油差しのようなマークを見たら、何を意味するのかを正しく理解し、冷静に対処することが何よりも大切になります。

ランプが示すもの:油圧の異常低下

エンジンオイルランプが点灯・点滅する際、それは基本的に「油圧警告灯」として機能しています。つまり、エンジン内部を巡るエンジンオイルの圧力が、正常な状態よりも異常に低いことを示しているのです。多くの人が「オイル量が少ない」と勘違いしがちですが、実際にはオイル量が適正でも、何らかの原因で油圧が確保できていない場合に点灯します。

なぜ油圧の低下が危険なのか:エンジンの命を脅かすサイン

エンジン内部には、ピストンやクランクシャフト、バルブなど、高速で複雑に動き続ける金属部品が多数存在します。これらの部品は、エンジンオイルが作る油膜によって保護され、摩擦や摩耗が抑えられています。エンジンオイルの圧力が低下するということは、この油膜が十分に形成されず、金属同士が直接接触し、激しい摩擦熱を発生させることを意味します。

この状態が続くと、エンジン内部の部品は短時間で異常な摩耗を起こし、最終的には「焼き付き」と呼ばれる現象を引き起こします。焼き付きとは、金属部品が過熱によって溶け合い、固着してしまう状態で、こうなるとエンジンは完全に停止し、ほとんどの場合、修理不可能となるか、非常に高額な修理費用(エンジン載せ替えなど)が必要となります。走行中にエンジンが停止すれば、ハンドル操作が重くなったり、ブレーキの効きが悪くなったりと、交通事故に繋がる危険性も非常に高まります。

まさにエンジンオイルランプの点灯は、エンジンの命そのものが危険にさらされているという、極めて重大な「赤信号」なのです。そのまま走行を続けることは、愛車の寿命を縮めるだけでなく、あなた自身や周囲の安全を危険に晒す行為に他なりません。

点灯・点滅した時の「絶対やってはいけないこと」と「すぐに取るべき行動」

エンジンオイルランプが点灯・点滅した瞬間は、誰もが動揺し、パニックになりがちです。しかし、この時こそ冷静さを保ち、正しい行動を迅速に取ることが、愛車を守り、事故を防ぐために最も重要になります。

絶対にやってはいけないこと

このランプが点灯・点滅した場合、以下の行為は絶対に避けてください。

そのまま走行を続けること

「もう少しで目的地だから」「とりあえず走れるから」といった安易な判断で、そのまま走行を続けるのは最も危険な行為です。たとえ数分間でも、油圧が低い状態でエンジンを稼働させ続ければ、エンジン内部は致命的な損傷を受け、完全に焼き付いてしまう可能性が非常に高いです。

「とりあえず」と惰性で走り続けること

エンジンに負担をかけたくないからといって、エンジンを切らずに惰性で走り続けるのも同様に危険です。エンジンが動いている限り、内部では摩擦が続き、損傷が進んでしまいます。

パニックになり、急ブレーキや急ハンドルを切ること

突然の警告灯にパニックになる気持ちは理解できますが、急ブレーキや急ハンドルは後続車との事故に繋がる危険性があります。冷静さを保ち、周囲の状況をよく確認しながら行動しましょう。

すぐに取るべき行動:安全な場所での緊急停止

エンジンオイルランプが点灯・点滅したら、何よりも優先すべきはエンジンをすぐに停止させることです。そのためには、以下の手順で冷静に行動しましょう。

安全な場所に停車する

ハザードランプを点灯させ、周囲の交通状況を確認しながら、路肩やパーキングエリア、広い駐車場など、後続車や他の交通の妨げにならない安全な場所に、できるだけ早く車を寄せましょう。

エンジンを直ちに停止させる

車が完全に停車したら、すぐにエンジンを切ってください。これが、エンジンの損傷を最小限に抑えるための最も重要な行動です。エンジンを停止することで、オイルの循環が止まり、これ以上の摩擦による損傷を防ぐことができます。

二次被害を防ぐための措置

三角表示板や発炎筒を設置し、後続車に危険を知らせましょう。夜間であれば、ヘッドライトを点灯させたままにしておくと良いでしょう。

エンジンオイルランプが点灯・点滅する主な原因

エンジンオイルランプが点灯・点滅する原因は一つではありません。いくつかの可能性が考えられますが、共通しているのは「油圧が正常に保たれていない」という状況です。

エンジンオイルの量の不足

最も一般的で、かつ比較的対処しやすい原因の一つが、エンジンオイルの量が不足していることです。オイル量が少なくなると、オイルポンプがオイルを十分に吸い上げられなくなり、結果として油圧が低下します。

オイル漏れ

エンジン本体のパッキンやシール部分、またはオイルパンのドレンボルト(オイル交換時に開閉する栓)などからオイルが漏れている場合、徐々にオイル量が減少します。車の下に黒いシミがあれば、オイル漏れの可能性が高いです。

オイル消費

エンジンの内部部品(特にピストンリングやバルブステムシール)の摩耗が進むと、エンジンオイルが燃焼室に入り込み、ガソリンと一緒に燃焼して消費されてしまうことがあります。これにより、定期的なオイル交換サイクルより早くオイルが減少することがあります。

前回のオイル交換時の充填不足

ごく稀なケースですが、前回のオイル交換時に適正な量のオイルが充填されていなかった、という可能性もゼロではありません。

エンジンオイルの劣化・汚れ

エンジンオイルは、使用するにつれて劣化し、潤滑性能が低下します。また、エンジン内部で発生するスラッジ(カス)が混ざり、汚れていきます。

粘度低下

オイルが劣化すると粘度が低下し、油膜が十分に形成されにくくなります。これにより、ポンプがオイルを送り出す際の抵抗が減り、油圧が低下する可能性があります。

ストレーナーやオイルポンプの目詰まり

劣化したオイルに含まれるスラッジやゴミが、オイルパンの底にあるストレーナー(オイルを吸い上げる際のフィルター)や、オイルポンプ内部に目詰まりを起こすと、オイルの吸い上げや送り出しが妨げられ、油圧が低下します。

オイルポンプの故障

オイルポンプは、エンジンオイルをエンジン内部の各部に送り込む心臓部のような役割を担っています。このオイルポンプ自体が故障すると、いくらオイル量が適正でも、油圧を適切に保つことができなくなります。これは比較的原因としては稀ですが、発生すると非常に厄介なトラブルです。

オイルプレッシャースイッチの故障

エンジンオイルランプの点灯・点滅は、油圧センサーである「オイルプレッシャースイッチ」からの信号に基づいて行われます。もしこのセンサー自体が故障している場合、実際には油圧が正常であるにもかかわらず、センサーが誤った信号を送り、ランプが点灯してしまうことがあります。これは、オイル漏れやオイル不足ではないのにランプが点灯する唯一の「良いケース」ですが、自己判断は禁物です。

オイルフィルターの目詰まり

エンジンオイルフィルターは、オイル中の不純物を取り除く役割をしています。オイル交換時にフィルターも同時に交換するのが一般的ですが、交換せずに長期間使用したり、極端に汚れたオイルで走行を続けたりすると、フィルターが完全に目詰まりを起こすことがあります。これにより、オイルがフィルターをスムーズに通過できなくなり、オイルの循環が悪化し、油圧が低下する原因となるのです。

緊急停止後に行うべきこと:セルフチェックと次のステップ

エンジンオイルランプが点灯して安全な場所に停車し、エンジンを停止させたら、次に取るべき行動は落ち着いて状況を確認することです。

オイルレベルゲージでオイル量を確認する

エンジンを停止させてから、少なくとも5分〜10分程度待ち、オイルがオイルパンに完全に落ちるのを待ちます。平坦な場所で車を停車させ、ボンネットを開けてオイルレベルゲージを抜きます。一度綺麗に拭き取り、再度奥まで差し込んでから抜き取り、オイルの付着している量を確認しましょう。

オイルレベルゲージには通常、「F(Full)」と「L(Low)」、または「MAX」と「MIN」の表示があります。オイルがこの二つの線の間にあれば、ひとまずオイル量に大きな問題はありません。もしL(MIN)を下回っていたり、ほとんど付着していなかったりする場合は、オイル量が著しく不足していることを意味します。また、オイルの色も確認しましょう。非常に黒く濁っていたり、異臭がしたりする場合は、オイルが劣化している証拠です。

オイル漏れの有無を目視で確認する

オイル量の確認と合わせて、車の真下やエンジンルーム内を目視で確認し、オイル漏れの有無をチェックしましょう。地面にオイルのシミがないか、エンジン本体やオイルパンの周辺にオイルの滲みや垂れた跡がないかを確認します。もし明らかにオイルが漏れている場合は、その箇所からオイルが失われている可能性が高いです。

オイル量の補充は応急処置:根本解決ではない

もしオイルレベルゲージでオイル不足が確認できた場合、手元に適切なエンジンオイルがあれば、応急処置として補充することは可能です。車種やエンジンによって指定されるオイルの種類(粘度や規格)が異なりますので、必ず車の取扱説明書で確認し、適合するオイルを使用しましょう。適切な量のオイルを補充することで、一時的に油圧が回復し、ランプが消えることもあります。

しかし、オイルの補充はあくまで応急処置であり、根本的な解決ではありません。オイルが減った原因(漏れや消費)が解消されたわけではないからです。補充後も、油圧が低い原因が解決されていない可能性や、オイル量が適正でも他の原因でランプが点灯している可能性も考えられます。

プロの診断を仰ぐことの重要性:決して自走しない

オイル量の確認や応急処置を行っても、決して自走して整備工場へ向かおうとしないでください。油圧が低い状態で走行すれば、エンジンへのダメージは避けられません。たとえランプが消えても、一時的に油圧が回復しただけで、根本的な問題が解決されていない可能性が高いからです。

最も安全で確実な次のステップは、ロードサービスを呼ぶことです。自動車保険のロードサービスや、JAFなどの会員サービスを利用し、車を安全に整備工場までレッカー移動してもらいましょう。プロの整備士に診断してもらい、正確な原因を特定し、適切な修理を行うことが、愛車を長く安全に乗り続けるために不可欠です。

エンジンオイルランプの種類と色:知っておくと安心な違い

車の警告灯は、その色によって緊急度が異なります。エンジンオイルに関する警告灯も、色によって意味合いが異なる場合がありますので、知っておくと役立ちます。

赤色の警告灯(油圧警告灯)

油差しのようなマークが赤色で点灯・点滅している場合、これは「油圧警告灯」であり、最も危険な状態を示しています。エンジンオイルの圧力が著しく低下しており、エンジンに致命的なダメージが及ぶ寸前であることを意味します。このランプが点灯したら、即座に安全な場所に停車し、エンジンを停止させる必要があります。

黄色の警告灯(油量警告灯)

車種によっては、油差しのようなマークが黄色で点灯する場合があります。これは「油量警告灯」であり、エンジンオイルの「量」が不足していることを示しています。赤色の油圧警告灯ほど緊急性は高くないものの、できるだけ早くオイルを補充する必要があります。ただし、黄色の警告灯だとしても、オイルが不足していることに変わりはないため、放置すれば油圧低下に繋がり、最終的にはエンジンが損傷する可能性があることを理解しておくべきです。

ご自身の車の取扱説明書で、警告灯の種類と意味を事前に確認しておくことをお勧めします。車種によって表示されるマークや色が異なる場合があるため、正確な情報を把握しておくことが大切です。

エンジンオイルトラブルを防ぐための予防策と日常のチェック

エンジンオイルランプの点灯という緊急事態を未然に防ぐためには、日頃からの適切な予防策と日常的なチェックが何よりも重要です。

定期的なエンジンオイル交換の重要性

エンジンオイルは、使用するにつれて劣化し、その性能が低下していきます。劣化したオイルは、潤滑性能が落ちるだけでなく、エンジン内部にスラッジ(燃えカスや金属粉などの不純物)を発生させ、オイルポンプやストレーナーの目詰まりの原因にもなります。

交換時期の目安

一般的に、エンジンオイルの交換時期は、走行距離3,000km5,000kmごと、または半年に一度が目安とされています。ターボ車や、走行距離が短くても渋滞の多い市街地走行がメインの車、あるいは短距離走行が多い車(チョイ乗り)は、オイルへの負担が大きいため、より早めの交換が推奨されます。

オイルフィルターも同時交換の推奨

エンジンオイルを交換する際には、オイル中の不純物を取り除くオイルフィルターも同時に交換するのが一般的です。オイルフィルターが目詰まりすると、オイルの循環が悪化し、油圧低下の原因となることがあります。通常、オイル交換2回に1回の頻度でフィルターも交換することが推奨されています。

日常的なオイルレベルチェックの習慣

エンジンオイルランプが点灯する前に異常を察知するためには、日頃からオイルレベルをチェックする習慣を身につけることが非常に効果的です。

月に一度、または長距離運転前

最低でも月に一度、あるいは長距離運転に出かける前には、必ずボンネットを開けてオイルレベルゲージでオイル量を確認しましょう。正しい確認方法は、「平坦な場所に停車し、エンジンを停止させてから数分待つ」ことです。オイルがオイルパンに完全に落ちてから確認することで、正確な量を測ることができます。

オイルの色と粘度も確認

オイルレベルだけでなく、オイルの色や指で触った際の粘度も確認しましょう。色が真っ黒に濁っていたり、粘度がほとんどなかったりする場合は、オイルの劣化が進んでいるサインです。

信頼できる整備工場での定期点検

エンジンオイルのトラブルは、日頃の点検だけでは発見しにくい内部の不具合が原因となることもあります。信頼できる整備工場で、定期的にプロによる点検を受けることが、未然にトラブルを防ぐ上で非常に重要です。オイル交換時だけでなく、半年に一度の点検や、車検の際にも、エンジンの状態をしっかり見てもらいましょう。また、運転中に「いつもと違う音」「異臭」「エンジンの不調」など、少しでも違和感があれば、すぐに専門家に相談することが大切です。早期発見、早期対応が、大きなトラブルを避ける最善の方法です。

エンジンオイルランプは車の命を守るサイン

車のダッシュボードに点灯するエンジンオイルランプは、単なるお知らせではなく、愛車のエンジンの命に関わる非常に重要な「赤信号」です。このランプが点灯・点滅した際は、「油圧の異常低下」という緊急事態を意味しており、そのまま走行を続ければ、取り返しのつかないエンジン損傷に繋がる可能性が極めて高いことを、この記事を通じて強くご理解いただけたかと思います。

万が一ランプが点灯した際には、決してパニックにならず、焦らず、安全な場所に停車し、すぐにエンジンを停止させるという行動を最優先してください。その後は、決して自走しようとせず、必ずロードサービスを利用して車を整備工場まで運んでもらい、プロの診断を仰ぐことが、愛車を守るための唯一の正しい選択です。

そして、この緊急事態を未然に防ぐためには、日頃からの定期的なエンジンオイル交換と、日常的なオイルレベルのチェックが何よりも重要です。車の取扱説明書に記載されている交換時期を守り、信頼できる整備工場で定期的なメンテナンスを行うことで、エンジンを健康な状態に保ち、安心して快適なカーライフを送ることができるでしょう。

エンジンオイルランプは、あなたに危険を知らせ、愛車の命を守ろうとしているサインです。そのサインを見落とさず、適切な行動を取ることが、あなた自身の安全と、愛車を長く大切に乗り続けるための鍵となります。

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