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車検切れの中古車は買っても大丈夫?メリット・デメリットから購入時の注意点まで徹底解説

2025年6月9日

中古車を探しているときに、「車検切れ」の状態にある車を目にすることがあります。いわゆる「車検なし」と表記されている車両は一見すると価格が安く、思わず魅力を感じる方も多いでしょう。しかし、車検が切れている中古車を購入する場合には、通常の中古車とは異なる手続きや注意点、そして費用面でのポイントが存在します。

本記事では、車検のない中古車を検討している方や、購入後の手続きが気になっている方向けに、車検切れ中古車の基本的な考え方からメリット・デメリット、手続きや費用面の流れ、さらに購入時にチェックしたいポイントまでを総合的にご紹介します。少し複雑に感じる内容かもしれませんが、手順や注意点を理解しておくことで、安心して愛車選びを進めることができるでしょう。

車検が切れている中古車とは?

車検切れ車両の定義

車検が切れている中古車とは、正式に言えば「車検の有効期間が満了しているのに更新が行われていない車両」を指します。車検は日本の公道を走行するために必要な法定手続きであり、車検満了日の前に更新手続きをしなければなりません。しかし、何らかの事情で更新しなかった車両は車検が切れた状態になり、当然そのまま公道を走らせることは法律違反となります。

車検証とナンバープレートの関係

車検が切れたまま一定期間を過ぎると、行政上の手続きによってナンバープレートが返却され、いわゆる「一時抹消登録」の状態になる場合があります。そのため、一部の中古車販売サイトや店舗では、車両そのものは存在しているもののナンバープレートが付いておらず、「車検なし」と表記しているケースがあります。

中古車市場における位置づけ

車検が残っている中古車であれば、購入後すぐに公道を走行できますが、車検が切れている車はそのまま走ることができないため、購入する側にとっては少し手間や費用がかかることになります。しかし、その分だけ販売価格が安く設定されている場合も多く、状態や性能次第では「掘り出し物」としての魅力があるのも事実です。

なぜ車検が切れたまま販売されているのか?

前オーナーの事情

中古車が車検切れになってしまう背景には、前オーナーの事情が大きく関わります。例えば、車検の時期に出費を抑えたい、乗り換えを検討していたのでわざわざ車検を通さなかった、あるいは長期間乗らずに放置していたため気づいたら期限が切れていた……など、さまざまな理由が考えられます。

業者側の事情

中古車販売店が、あえて車検を通さずに「車検なし」で販売するケースもあります。車検整備にかかるコストを省くことで、販売価格を安く抑える狙いが一つ。また、車検の有効期限が残りわずかである車両の場合、一度車検を更新してから売り出すよりも、そのまま安価で提供した方が買い手が見つかりやすいこともあるのです。

市場のニーズ

走行距離や使用用途によっては、次のオーナーが自分好みの整備工場で車検を受けたい場合もあります。整備内容や車検工場によって車検費用は変動するため、自分のタイミングでじっくり整備に出したい人にとっては、車検なしの車両を購入するメリットがあるわけです。

「車検なし」の中古車を買うメリットとデメリット

メリット

購入価格が安い場合が多い

「車検切れ」の車両は、基本的には現状渡しのような形で販売されるケースが多く、販売店が車検整備や登録作業を行わないぶん、価格設定が低めになることがあります。車の状態が良ければ、コスパの高い買い物になる可能性があります。

車検整備内容を自由に選べる

車検を通すにあたって、消耗部品やオイル交換などの整備メニューを自分で選びたい方にとっては、最初から車検のない車両を買って、自分の信頼できる工場やディーラーで整備する方が安心できるでしょう。余計な整備を省いて予算を抑えたり、逆にこだわり抜いたメンテナンスをしたりと、カスタマイズ性が高いのが特徴です。

状態次第で“掘り出し物”を狙える

前オーナーが単に車検を通すタイミングを逃していただけで、車の状態自体は極めて良好というケースもあります。そうした車両が比較的安く出品されている場合は、まさに“掘り出し物”を手に入れるチャンスかもしれません。

デメリット

追加の手続きや費用が必要

購入後、公道を走れる状態にするためには車検を取得し、名義変更などの登録手続きを進める必要があります。これは当然、時間と費用がかかります。販売価格が安くても、整備費用や諸費用を含めると予算オーバーになってしまう可能性もあるので要注意です。

車両状態を把握しにくい

「車検なし」の車は、長期間動かしていない可能性もあります。各種オイルシールの劣化や電装系トラブルなど、動かして初めてわかる不具合が潜んでいる場合があります。購入前にしっかり確認しないと、車検整備時に想定外の出費が発生しやすくなるでしょう。

すぐに乗れない

車検が切れているため、購入してもそのまま公道を走ることはできません。車検取得や整備完了までの間、車の移動はレッカーや積載車が必要になる場合もあり、即日乗り出すのは難しい点を理解しておかなければなりません。

車検切れ中古車の購入手続きと費用の流れ

購入契約・書類手配

まずは中古車販売店または個人売買などで購入契約を結びます。車検が切れていることを前提として、購入後に必要となる書類や手続きについて、販売店や行政書士などと相談しながら進めましょう。主な書類としては、自動車検査証(期限切れのものでもOK)、印鑑証明、委任状、譲渡証明書などが必要です。

車両の移動方法

車検なしの車両は自走できないため、整備工場や自宅などへ移動させる際には、積載車やレッカーを手配する必要があります。あるいは、臨時運行許可(仮ナンバー)を取得して指定ルート上のみ自走する方法もありますが、手続きには市区町村役場での申請が必要です。

車検取得と名義変更

整備工場で車検に通せる状態に仕上げてもらい、テスト走行や必要な検査を経て車検証を更新します。続いて名義変更に必要な書類をそろえ、運輸支局で手続きを行い、晴れて新オーナーの名義で車検有効期間がスタートします。この一連の流れには、車検整備費用・重量税・自賠責保険料・印紙代など、さまざまな費用が発生します。

トータル費用の目安

購入費用(本体価格)に加え、陸送や整備・車検代、登録手数料などを合計した金額が最終的な支出になります。一般的に、普通車で10万~20万円程度の追加予算がかかるケースも珍しくありません。軽自動車だとしても、車検費用や整備内容次第では同程度かそれ以上になる可能性もあるため、事前にしっかり見積もりをとることが大切です。

実際に乗り出すまでのステップ(仮ナンバー・車検整備など)

仮ナンバーの取得方法

公道を走行できない状態の車を一時的に移動させる場合、最寄りの市町村役場で「臨時運行許可証」と呼ばれる仮ナンバーを取得し、指定された期間とルートのみ走行可能にすることができます。申請時には、自賠責保険の加入証明書や車両情報を示す書類(抹消登録証明書や車検証など)、身分証明書、印鑑などが必要となります。

整備工場での点検・整備

仮ナンバーを利用して車を整備工場まで移動したら、必要な部品交換や修理、点検を実施します。オイル、ブレーキパッド、タイヤ、ライト類、電気系統など、車検合格に必要な項目を中心にチェックしてもらいましょう。車検と同時に消耗部品を交換すると安心度が高まる一方、コストもかさむので優先順位を考えながら整備内容を決めると良いでしょう。

車検場での検査

整備工場が車検代行を行う場合、オーナー自身は委任状などを用意しておけば立ち会い不要で手続きが完了するケースが多いです。自分で車検を受けるユーザー車検に挑戦する場合は、事前予約と書類準備を忘れずに行い、検査場でブレーキテスト、排気ガステスト、灯火類の検査などに臨む必要があります。

名義変更と新車検証の取得

無事に車検に合格し、名義変更手続きを完了すると、新しい車検証が発行されます。この時点で晴れて公道を自由に走行できる状態となるため、自分の名義・自分の保険で安心して車を利用できるようになります。

購入時にチェックすべきポイント

実車確認と試乗

車検が切れている車の場合は試乗が難しいこともありますが、可能であれば、積載車などを使って確認させてもらうか、エンジンをかけてのアイドリング状態や各種ランプの動作チェックを行いましょう。少なくともボディの損傷やエンジンルーム内のオイル漏れ、サビの状況などを念入りに確認しておくと、後々のトラブルを減らせます。

整備履歴や修理歴の有無

整備手帳や点検記録簿、修理履歴が残っているかどうかは重要です。定期的にメンテナンスされている車両であれば、たとえ車検が切れていても大きなトラブルのリスクは比較的低いでしょう。反対にメンテナンス履歴が全くわからない場合は、ある程度の修理費用を覚悟する必要があります。

錆や腐食、フレーム状態

特に古い年式の車や長期間屋外放置されていた車両は、足回りやフレームに深刻なサビが生じていることがあります。サビが進行していると安全面でも問題があるため、外観だけでなく下回りもチェックしたいところです。販売店にリフトアップしてもらえるなら、下回りを見せてもらうのが理想的です。

保証内容

車検なしでの販売の場合、販売店の保証がつかないケースも多いです。購入後の不具合対応についてはどの範囲までサポートしてもらえるのか、明確に確認してから契約すると安心でしょう。

お得に買うためのコツとリスク回避法

信頼できる販売店を選ぶ

個人売買ではなく、実績のある中古車販売店やオークション代行業者を利用すると、車両情報の開示や手続きのサポートがスムーズな場合が多いです。車検なしの車両はどうしてもリスクが伴うため、アフターケアや問い合わせへの対応が丁寧なショップを選びましょう。

事前の見積もりを入念に

整備費用、車検費用、重量税、自賠責保険、登録関連の諸費用などを合算し、最終的にかかる費用をシミュレーションすることが大切。複数の整備工場やディーラーで見積もりを取ることで、比較的リーズナブルなプランを見つけられるかもしれません。

スペアパーツや補修のしやすさ

古い車種や希少車の場合、部品が入手困難なケースも考えられます。車検整備の過程で部品交換が必要になったときに、すぐに調達できず修理が長期化する恐れもあります。購入前にその車種のパーツ流通状況をリサーチしておくと、後々のトラブルを回避できます。

時間的余裕を持って手続きする

購入から車検取得までの流れは意外と手間がかかります。特に仮ナンバーの取得や整備工場の予約など、スケジュールが合わずに想定よりも時間を要するケースが珍しくありません。急ぎで車が必要な状況での“車検なし”中古車購入はリスクが高いので、ゆとりを持って進めましょう。

車検切れ車を上手に活用するために

車検が切れている状態の中古車は、購入後に必要な手続きや整備費用がかかるものの、魅力的な価格設定や豊富な選択肢があるのも事実です。自分が希望する整備を自由に行い、愛車をじっくりと仕上げていく楽しみも味わえます。

一方で、車検がない状態の中古車は「手間とリスク」を伴うことを忘れてはいけません。購入時にしっかりと車両状態をチェックし、必要な費用や手続きの流れを理解しておくことで、余計な出費やトラブルを避けられます。信頼できる販売店と整備工場を見つけ、十分な見積もりとアドバイスを受けるのが成功のカギです。

もし、これから「車検が切れている中古車を探そう」と考えているならば、事前に費用シミュレーションや車両の状態確認を徹底し、購入後のスケジュールにも余裕を持たせておきましょう。そうすれば、愛車のある生活をより快適にスタートさせることができます。

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