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車のエンジンオイル、入れすぎは本当に危険?見分け方から対処法、意外なリスクまで徹底解説

2025年7月3日

善意が裏目に?「オイルは多めがいい」という誤解の危険性

車のメンテナンスにおいて、「エンジンオイルは多めに入れておけば安心」「少し多いくらいがエンジンの保護に繋がる」といった誤解を耳にすることがあります。あるいは、自分でオイル交換を行った際に、つい適正量を超えてオイルを注入してしまった、という経験がある方もいらっしゃるかもしれません。しかし、実はこの「エンジンオイルの入れすぎ」は、不足している場合と同様、あるいはそれ以上に、車にとって様々な深刻なトラブルを引き起こす可能性があります。

エンジンオイルの役割は、エンジン内部の部品を潤滑し、冷却し、清掃すること。その量が多すぎると、まるで血管が詰まったかのように、エンジンの正常な働きが妨げられてしまうのです。エンジンの不調から、排気ガスの異常、さらには高額な修理費用に繋がることも少なくありません。

この記事では、車のエンジンオイルを入れすぎた際に何が起きるのか、そのメカニズムと、引き起こされる具体的なトラブルについて詳しく解説します。また、自分でオイル量をチェックする方法から、もし入れすぎてしまった場合の正しい対処法、そして未然に防ぐための適切なオイル管理の重要性まで、エンジンオイルの入れすぎに関するあらゆる情報を網羅的に紐解いていきます。愛車を大切にするために、ぜひこの機会に「オイルは適正量がベスト」という正しい知識を身につけ、安心してカーライフを楽しんでください。

エンジンオイルを入れすぎると何が起きる?知られざる「オーバーオイル」のメカニズム

エンジンオイルを適正量より多く入れすぎると、エンジン内部で様々な異常が発生します。これは、エンジンの構造とオイルの役割を理解することで、そのメカニズムが見えてきます。

エンジン内部でオイルが「泡立つ」現象:撹拌抵抗の増大

エンジンオイルが多すぎると、オイルパンに貯まったオイルの液面が上がり、エンジン内部で高速回転しているクランクシャフトがオイルの液面に浸かってしまうことがあります。クランクシャフトは、エンジンのピストン運動を回転運動に変える非常に重要な部品です。このクランクシャフトが多すぎるオイルの液面を叩きつけるように回転することで、オイルが激しく泡立つ「オイル撹拌(かくはん)」という現象が起こります。

泡立ってしまったオイルは、空気を含んで圧縮性が増し、本来の潤滑性能を十分に発揮できません。気泡が混ざったオイルでは、部品表面に均一な油膜を形成することが難しくなり、金属同士の摩擦が増大します。これは、油圧の低下にも繋がり、結果としてエンジンの潤滑不良を引き起こし、摩耗や損傷を早める原因となります。また、オイルが泡立つことで、エンジンの回転に余分な抵抗が生まれ、「撹拌抵抗」が増大します。これにより、エンジン本来のパワーがスポイルされ、燃費の悪化にも繋がります。

オイルシールやパッキンへの過剰な圧力:オイル漏れのリスク増大

エンジンオイルを入れすぎると、オイルパン内の油面が上がるだけでなく、エンジン内部全体の油圧が上昇する傾向にあります。この過剰な圧力が、エンジン各部に使われているオイルシールやパッキンに大きな負担をかけます。特に、経年劣化しているシール材や、元々弱い部分のパッキンなどは、この圧力に耐えきれず、ひび割れや損傷を起こしやすくなります。

結果として、エンジンオイルが外部に漏れ出す「オイル漏れ」のリスクが格段に高まります。オイル漏れが発生すれば、エンジンの焼き付きリスクだけでなく、漏れたオイルが高温の排気管などに付着して車両火災に繋がる可能性も出てきます。これは、オイル不足の場合と同様、非常に危険な状況と言えるでしょう。

排気システムへの悪影響:燃焼と排ガス問題

過剰なオイルは、エンジンの内部経路を通して、燃焼室に吸い込まれてしまうことがあります。これにより、エンジンオイルがガソリンと一緒に燃焼してしまい、排気ガス中に白煙や青白い煙が混じる原因となります。

また、排気ガス中のオイル成分は、排気システムに取り付けられている触媒コンバーター(三元触媒)に悪影響を及ぼします。触媒は、排気ガス中の有害物質を浄化する重要な役割を担っていますが、オイル成分が付着するとその機能が低下し、最終的には触媒自体が故障してしまう可能性があります。触媒は非常に高価な部品であり、交換には数十万円もの費用がかかることも珍しくありません。さらに、排気ガス規制に適合しなくなり、車検に通らなくなるという問題も発生します。

オイル入れすぎが引き起こす具体的なトラブルと症状

エンジンオイルの入れすぎは、単に「ちょっと多いだけ」と軽く見てはいけません。実際に車に現れる具体的な症状と、それが引き起こすトラブルを知っておきましょう。

エンジンの不調と性能低下

オイルを入れすぎると、まずエンジンの不調が体感として現れることがあります。前述の撹拌抵抗が増えることで、エンジンの回転が重く感じられたり、加速が鈍くなったりすることがあります。まるでエンジンに余分な負荷がかかっているかのような感覚です。エンジンの振動が大きくなったり、アイドリングが不安定になったりすることもあります。

また、燃焼室にオイルが混入することで、プラグがオイルで汚れて**失火(ミスファイア)**を引き起こし、エンジンの出力が低下したり、最悪の場合、エンジンチェックランプが点灯したりすることもあります。

燃費の悪化

撹拌抵抗の増大は、エンジンが本来の力を出すために、より多くのエネルギーを必要とすることを意味します。これは、結果として燃費の悪化に直結します。オイルを多めに入れたことで、かえって燃料代がかさむという、本末転倒な事態に陥る可能性もあるのです。

白煙・青白い煙の排出

エンジンオイルが燃焼室で燃えてしまうと、排気ガスにその兆候が現れます。マフラーから白煙や青白い煙が排出されるのが特徴です。特に加速時やエンジンブレーキをかけた後に顕著に見られることがあります。これは、オイルが不完全に燃焼している証拠であり、放置すれば触媒の損傷に繋がるだけでなく、周囲への環境負荷も高めます。

オイル漏れ・滲みの発生

オイル量が多すぎることで内部の圧力が上がり、エンジン各所のオイルシールやパッキンからオイルが滲んだり、漏れ出したりするリスクが高まります。特に年式の古い車や走行距離が多い車は、シール材のゴムが硬化・劣化しているため、この影響を受けやすくなります。地面に油染みができたり、エンジンルーム内にオイルの滲みが見られたりするようになったら、オイル入れすぎが原因の一つである可能性も考慮すべきです。

触媒の損傷と高額な修理費用

最も深刻で高額なトラブルの一つが、排気システムに取り付けられている触媒コンバーター(三元触媒)の損傷です。燃焼室に入り込んだエンジンオイルが不完全に燃焼し、その成分が触媒に付着することで、触媒が劣化したり、完全に詰まってしまったりします。触媒が正常に機能しなくなると、排気ガス規制値をクリアできなくなり、車検に通らなくなります。触媒の交換費用は非常に高額で、車種によっては数十万円以上かかることも珍しくありません。

「オイル入れすぎかも?」と感じたら:正しいオイル量の確認方法とチェックポイント

「もしかしてオイルを入れすぎたかもしれない」と感じたら、まずは冷静にオイル量を正しく確認することが重要です。

正しいオイルレベルゲージの確認手順

オイルレベルを正確に確認するには、以下の手順を守りましょう。

  1. 平坦な場所に停車する: 車体が傾いていると、正確なオイル量を測れません。必ず平坦な場所に停車させてください。
  2. エンジンを完全に停止させる: エンジンが作動していると、オイルがエンジン内部を循環しているため、正確な量が測れません。
  3. エンジン停止後、時間を置く: エンジンを停止させてから、少なくとも5分〜10分程度待ちましょう。これにより、エンジン内部に循環していたオイルが、全てオイルパンに落ちて貯まります。
  4. オイルレベルゲージを抜いて拭き取る: ボンネットを開けてオイルレベルゲージを引き抜きます。ゲージの先端に付着しているオイルを、きれいな布やペーパータオルで完全に拭き取ってください。
  5. 再度ゲージを差し込み、抜いて確認する: 拭き取ったゲージを、再度奥までしっかりと差し込み、カチッと音がするまで入れ込みます。その後、もう一度ゆっくりと引き抜き、オイルの付着している量を確認しましょう。

オイルレベルゲージの確認ポイント

オイルレベルゲージの先端には、通常、以下の二つの目盛りがあります。

  • FFull)またはMAX: オイルが上限まで入っていることを示す線。
  • LLow)またはMIN: オイルが下限まで入っていることを示す線。

オイル量がこのF(MAX)とL(MIN)の間にあれば、適正な量です。もしF(MAX)を明らかに超えて付着している場合は、オイルの入れすぎの可能性が高いです。特に、F(MAX)を1cm以上超えているようであれば、早急な対処が必要です。

エンジンオイル入れすぎが確認されたら:正しい対処法と注意点

オイルレベルゲージで明らかにオイルの入れすぎが確認された場合、放置せずに適切な対処を行うことが重要です。

少量であれば様子見も可能だが、基本は「抜く」

F(MAX)ラインをわずかに超えている程度(数ミリ程度)であれば、緊急性は低いと判断されることもあります。その場合は、しばらく様子を見て、エンジンの回転が重い、白煙が出るなどの異常がないか注意深く観察することも選択肢の一つです。

しかし、F(MAX)ラインを大きく超えている場合や、走行に異変を感じる場合は、速やかにオイルを抜く必要があります。多くの場合、自分で簡単にオイルを抜くことは困難です。

最も安全で確実な対処法:専門業者に依頼する

エンジンオイルを抜く作業は、専門的な知識と工具が必要です。素人が自己流で行うと、適切な量を抜くのが難しかったり、ドレンボルトを損傷させたり、誤って火傷を負ったりするリスクがあります。最も安全で確実な対処法は、信頼できる整備工場やカー用品店に依頼することです。

依頼時の注意点

整備工場に連絡する際は、「エンジンオイルを入れすぎてしまったようで、オイルを抜いてほしい」と具体的に伝えましょう。症状がある場合はそれも伝えるとスムーズです。

費用相場

オイル抜き作業の費用は、数千円程度で済むことが多いです。オイル交換ほどの費用はかからないのが一般的です。

オイルチェンジャーによる「上抜き」も選択肢の一つ

整備工場では、通常、車を持ち上げてドレンボルトからオイルを抜く「下抜き」を行いますが、車種によってはオイルレベルゲージの穴からオイルを吸い上げる「上抜き」という方法もあります。オイルチェンジャーと呼ばれる専用の工具があれば、自分でも上抜きが可能ですが、これも適切な量の判断が難しく、完全に抜ききれない場合もあるため、やはり専門業者に依頼するのが最も安心です。

決してやってはいけない「素人判断」の危険性

「自分で何とかしよう」と、ドレンボルトを緩めて少しだけオイルを抜こうとするのは非常に危険です。ドレンボルトを完全に外してしまえば、全てのオイルが流れ出てしまい、エンジンが焼き付くリスクが生じます。また、締め付けが不十分であれば、オイル漏れの原因となり、走行中にオイルがなくなる可能性もあります。無理な作業はせずに、プロに任せましょう。

エンジンオイルの入れすぎを防ぐための予防策と適切なオイル管理

エンジンオイルの入れすぎは、少しの注意と正しい知識があれば十分に防ぐことができます。日頃からの適切なオイル管理を心がけましょう。

オイル交換は信頼できる業者に依頼する

自分でオイル交換を行う場合を除き、ほとんどのドライバーは整備工場やカー用品店、ガソリンスタンドでオイル交換を依頼していることでしょう。信頼できる業者であれば、基本的に適正量のオイルを注入してくれるはずです。もし不安な場合は、作業完了後に自分でオイルレベルゲージを確認し、適正量であることを確認する習慣をつけましょう。

自分でオイル交換を行う際の注意点

自分でオイル交換を行う場合は、以下の点に特に注意が必要です。

取扱説明書で規定量を確認する

車種ごとにオイルの規定量は厳密に定められています。必ず車の取扱説明書で正確な規定量を確認し、それを超えないようにしましょう。

少しずつ注入し、都度確認する

オイルを一度に全量注入するのではなく、規定量より少なめから始め、少しずつ注入しながら、その都度オイルレベルゲージで確認するようにしましょう。特に、エンジンを数分作動させてから再度ゲージで確認する「最終確認」を怠らないことが重要です。

オイルフィルター交換時は量が変わる

オイルフィルターも同時に交換する場合、フィルター内にもオイルが入るため、オイルの総量は増えます。フィルター交換の有無によって注入量が異なることを理解しておきましょう。

定期的なオイルレベルチェックの習慣

エンジンオイルの入れすぎだけでなく、不足も防ぐためにも、定期的なオイルレベルのチェックは非常に重要です。月に一度、または長距離運転の前には、必ずボンネットを開けてオイルレベルゲージでオイル量を確認する習慣をつけましょう。これにより、オイルの入れすぎだけでなく、オイル漏れやオイル消費による不足にも早期に気づくことができます。

適正量がエンジンの健康を守る「ゴールデンルール」

車のエンジンオイルは、多すぎても少なすぎても、エンジンにとって深刻なダメージを与える可能性があります。「オイルは多めがいい」という誤解は、かえって愛車を危険に晒してしまうことをご理解いただけたかと思います。エンジンオイルの入れすぎは、エンジンの撹拌抵抗増大、燃費悪化、白煙排出、そして最も恐ろしいオイル漏れや触媒の損傷といった高額な修理に繋がるリスクを秘めています。

もしオイルを入れすぎてしまったと感じたら、あるいは確認してみて適正量を超えていた場合は、決して自己判断で無理な対処をせず、すぐに信頼できる整備工場やカー用品店に相談し、適切な処置を依頼することが何よりも大切です。数千円程度の費用で、数十万円からそれ以上の高額な修理費用を未然に防ぐことができるのです。

そして、最も重要なのは、日頃からエンジンオイルの適切な管理を心がけることです。定期的なオイル交換はもちろんのこと、自分でオイルを扱う際には取扱説明書で規定量を厳守し、少しずつ注入しながら確認する慎重さが求められます。また、月に一度のオイルレベルチェックを習慣にすることで、入れすぎだけでなく、オイル漏れや消費による不足にも早期に気づき、愛車の健康を維持することができます。エンジンオイルの量は、少なすぎず、そして多すぎず、常にFMAX)とLMIN)の間にある「適正量」を保つことが、愛車のエンジンを長持ちさせ、安心で快適なカーライフを送るための「ゴールデンルール」なのです。この知識を活かし、あなたの愛車を長く大切に乗ってあげてください。

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